ヘンミ 計算尺

 電卓やコンピューターが普及し、教育現場から姿を消して30年余。40代以上でなければ見たことがない、計算機ではないでしょうか。
計算尺は、概算値を素早く知るには便利なため、電卓の登場までは盛んに使われいたようです。日本商工会議所での検定試験は、最盛期の1965年ごろは年間40万人以上が受験。
しかし、高校では70年、中学は77年に学習指導要領が改訂されて教育現場から消え、検定試験も82年を最後に終了しました。

 トム・ハンクス演じるアポロ13号の船長ジム・ラヴェルが紙の上で軌道計算をし、彼の計算結果に対してNASAのコントロールセンターの技術者たちが、いっせいに検算を始めるシーンがありました。NASAの巨大なコンピュータの前で、スタッフが検算のために使っていたのは「計算尺」でした。


 こうした計算尺の中で、最高級品として世界中で高い評価を得たのが、ヘンミ(HEMMI)計算尺です。ヘンミ計算機は材料として木ではなく、湿気による伸縮がほとんどない孟宗竹の合板を使用した点に特徴があります。1965年頃には日本の計算尺の98%、世界の70%のシェアを占めていたようです。

定価:3,900円


需要なんて無いかなー、と思いつつ出品したところ

落札額:10,500円

 あとでネットで調べてみると、マニアの方はまだまだ世界中にいらっしゃるようですね。

「電卓全盛の今、計算尺を落札していただけるとは思っていませんでした。」との、こちらの言に対し

[落札者さんのコメント]
 何せ世の中には随分変わり者が居りますもので…
とは申しましても、例えば算盤の愛用者は今でも大勢居りますし、計算尺も状況によっては電卓などより優れている場合があります。
日常でも単位の換算などの比例計算では、一度基準を合わせるだけであとは何の操作もしなくていい(カーソルを動かさなくても大抵間に合います)ので、毎回キーを押さねばならない電卓より簡単・便利です。
また、常に目分量の判断や位取りや概算を頭の中で行なっていますし、指先の微小な運動を繰り返しますので、大脳が適度に刺激されます。多分これが一番嬉しいのではないでしょうか。

計算尺には目的に応じて、色々な尺の組み合わせや大きさがありますが、残念ながら現在では生産・販売されておりませんので、自分に合った良いものでしたら、本来の価格より高くても購入したい人はまだまだ多いと思います。懐古的な面からの蒐集という人も多いです。
私の場合は実用と半々かな?

HEMMIのP253は、一般用・科学技術用として完成度の高い、使い易い機種です。最良の状態のものを、ご出品下さいましたことに感謝いたします。


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大阪のかたでした。

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